アトピー性皮膚炎

1.当院ではデュピクセント、アドトラーザ注射剤を使用しています

近年、アトピー性皮膚炎に対する治療薬の開発が飛躍的に進んでいます。注射剤では、デュピクセント、ミチーガ、アドトラーザ、イブグリース、内服薬ではオルミエント、リンボック、サイバインコなどが知られています。

デュピクセントは全身的な副作用が少なく、血液検査の義務がないこと、一部の他剤で必要な胸部レントゲン写真撮影が不要であることなどから、個人のクリニックでの導入が容易であり、令和3年10月から当院では使用を開始しています。
しかし、副作用として結膜炎、赤ら顔が出る場合があり、症状の改善がない場合に、アドトラーザに変更する場合があります。

2.当院でのデュピクセント注射剤による治療実績

(1) 注射開始時の年齢

令和3年10月から現在(令和8年3月)までに、26人の患者様がデュピクセント治療を開始しました。
注射開始時の患者様の年齢は、10歳代5人、20歳代6人、30歳代3人、40歳代5人、50歳代5人、60歳代1人、80歳代1人です。

患者様の年齢構成

(2) 治療期間(令和8年3月時点)

0週〜16週(4ヶ月)未満:5人
16週〜52週(1年)未満:6人
1年〜2年未満:3人
2年〜3年未満:5人
3年〜4年未満:4人
4年〜5年未満:3人

令和8年3月末日でデュピクセント注射による治療を継続している患者様は12人、中止した患者様は14人です。中止の理由ですが

症状が改善: 4人
転居: 2人
経済的に継続困難: 5人
副作用: 3人(結膜炎が1人、赤ら顔が2人。赤ら顔の2人はアドトラーザに変更し治療継続)

です。

(3) 効果

2週間に1回のペースで注射を1本(初回のみ2本)打ちますが、2回目(計3本)の注射が終わって、2週間後に外来を受診した方の、かゆみのアンケート結果をお示しします。注射前のかゆみを10とした場合、2回目の注射が終わった時点でのかゆみは、
0(ゼロ、著効): 4人、1: 3人、2: 4人、3: 2人、4: 3人、5: 3人、6: 4人、9: 1人、10(効果なし): 1人と、多くの方が、かゆみが半分以下に減った、とおっしゃっていました。なお、1人は他院からの継続治療のため集計から省いています。

かゆみのアンケート結果

(4) 実際の患者様のお声

*かゆみによるイライラがなくなった。

*治療を開始してまだ半年だが、自分がアトピーだったことを忘れている。

*今までは濃い色の服しか着ることができなかったが、今では白いシャツを着ている。

*人目を気にせず外出できるようになった。自分では鬱ではない、と思っていたが、デュピクセント注射を始めて、こんなにも晴れ晴れとした気持ちで外を歩くことができるのは、やはり鬱だったのか?とにかく嬉しい。

*夏場、肌を出して歩くことができる。

*今日、洗濯したばかりのシーツが、翌朝もシミ一つなく、とてもきれいである。

(5) 副作用

デュピクセントは全身的な副作用が少ないために、製薬会社からの指導では、血液検査は任意となっています。結膜炎が最も頻度の高い副作用といわれており、当院でも、26人中3人の方に結膜炎が認められ、そのうち、1人は結膜炎が理由で治療を中止しました。
また、顔面の発赤が出る場合があり、26人中3人に認められ、2人はアドトラーザに変更しました。それ以外の特記すべき副作用は、ありませんでした。

3.デュピクセント注射剤とは?

2018年からアトピー性皮膚炎に対して保険適応となった、注射のお薬です。IL4とIL13というサイトカインをブロックします。現在では海外も含め、すでに4万人の方が使用している、安全性の高いお薬です。アトピー性皮膚炎だけでなく、喘息や鼻茸の患者様も、すでに使用しています。
月に2回ご自宅で自己注射をします。

注射を受けられる条件としては以下の様になっております。

  • 今まで治療をしたのに治りが悪い方(直近の6ヶ月間以上、皮膚科で通院治療を行っている必要があります。)
  • 皮膚炎の面積が広い方(正式な基準があります。あまりに小範囲の方には使えません。)

このように、希望した全ての方が注射を打てるわけではありませんので、ご注意ください。
なお、デュピクセントはアトピー体質を根本的に治すものではありませんので、継続する必要があります。

さらに、患者様にとって問題になるのは、費用の面だと思います。高いお薬なので、3割負担の方で注射代は1本約16000円ほどかかります。1カ月目は院内で3本打ちますので、注射代は約48000円かかります。2ヶ月目からはご自宅で2週間に1本を自己注射します。処方は1回に6本処方されますので、患者様の年収区分によっては高額療養費制度の適応となり自己負担額が軽減される場合もあります。また、患者様が加入されている保険組合に助成金(付加給付制度と呼ばれています)がある場合もありますので、その場合も費用を安く抑えることができます。こちらについては患者様ご自身で調べていただくことになります。個人情報となりますので、ご本人にしか確認できない項目となっております。

デュピクセント治療についての詳しい説明は、製薬会社が出しているパンフレットをご覧いただけますので、こちらをクリックしてください。
(リンク先では「弊社製品をご使用の患者さんへ・・・デュピクセントによる治療を受けていますか?」の質問に対してYESを選んでください)