デュピクセント治療について

1.当院がデュピクセント注射剤を選択している理由

近年、アトピー性皮膚炎に対する治療薬の開発が飛躍的に進んでいます。注射剤では、デュピクセント、ミチーガ、内服薬ではオルミエント、リンボック、サイバインコなどが知られています。

デュピクセントは全身的な副作用が少なく、血液検査の義務がないこと、一部の他剤で必要な胸部レントゲン写真撮影が不要であることなどから、個人のクリニックでの導入が容易であり、令和3年10月から当院では使用を開始しています。

2.当院でのデュピクセント注射剤による治療実績

(1) 注射開始時の年齢

令和3年10月から現在(令和5年4月)までに、15人の患者様がデュピクセントによる治療を行っています。但し、途中でやめた方がお二人いらっしゃいます。辞めた理由ですが、お1人は経済的な理由、また、お1人は副作用の結膜炎がひどくなったためです。
患者様の年齢は、10代 2人、20代 2人、30代 2人、40代 5人、50代 3人、60代 1人です。

患者様の年齢構成

(2) 治療期間

0~16週(4か月)未満:4人
16~52週(1年)未満:7人
52週以上       :4人

(3) 効果

2週間に1回のペースで注射を1本(初回のみ2本)打ちますが、2回目(計3本)の注射が終わって、2週間後に外来を受診した方の、かゆみのアンケート結果をお示しします。注射前のかゆみを10とした場合、2回目の注射が終わった時点でのかゆみは、
0(ゼロ): 2人、1: 1人、2: 2人、3: 3人、4: 1人、5: 2人、6: 1人、9: 1人、10: 1人と、多くの方が、かゆみが半分以下に減った、とおっしゃっていました。

かゆみのアンケート結果

(4) 実際の患者様のお声

*かゆみによるイライラがなくなった。

*治療を開始してまだ半年だが、自分がアトピーだったことを忘れている。

*今までは濃い色の服しか着ることができなかったが、今では白いシャツを着ている。

*人目を気にせず外出できるようになった。自分では鬱ではない、と思っていたが、デュピクセント注射を始めて、こんなにも晴れ晴れとした気持ちで外を歩くことができるのは、やはり鬱だったのか?とにかく嬉しい。

*夏場、肌を出して歩くことができる。

*今日、洗濯したばかりのシーツが、翌朝もシミ一つなく、とてもきれいである。

(5) 副作用

全身的な副作用が少ないために、製薬会社からの指導では、血液検査は任意となっています。結膜炎が最も頻度の高い副作用といわれており、当院でも、15人中3人の方に結膜炎が認められ、そのうち、お1人は結膜炎が理由で治療を中止しました。それ以外の特記すべき副作用は、ありませんでした。

3.デュピクセント注射剤とは?

2018年からアトピー性皮膚炎に対して保険適応となった、注射のお薬です。現在では海外も含め、すでに4万人の方が使用している、安全性の高いお薬です。アトピー性皮膚炎だけでなく、喘息や鼻茸の患者さんも、すでに使用しています。
月に2回ご自宅で自己注射をします。

注射を受けられる条件としては以下の様になっております。

  • 今まで治療したのに治りが悪かった方
  • 皮膚炎の面積が広い方(正式な基準があります。あまりに小範囲の方には使えません。)

このように、希望した全ての方が注射を打てるわけではありませんので、ご注意ください。
なお、デュピクセントはアトピー体質を根本的に治すものではありませんので、継続する必要があります。

さらに、患者様にとって問題になるのは、費用の面だと思います。高いお薬なので、3割負担の方で 注射代は1本約20000円ほどかかります。1ヶ月に2回打ちますので、4万円かかります。但し、高額療養費制度や入っていらっしゃる保険組合に助成金などありますので、それらを使っていただくと、費用を安く抑えることが可能です。こちらについては患者様ご自身で調べていただくことになります。個人情報となりますので、ご本人にしか確認できない項目となっております。

デュピクセント治療についての詳しい説明は、製薬会社が出しているパンフレットをご覧いただけますので、こちらをクリックしてください。
(リンク先では「弊社製品をご使用の患者さんへ・・・デュピクセントによる治療を受けていますか?」の質問に対してYESを選んでください)